真夜中は別の顔
天にも届くかと思わせる高層ビルが建ち並ぶ首都の心臓部
東京都新宿区
見るものに、神に迫るものを造ってしまったという自負と畏れを抱かせる、
そんな高層ビル群の影のように位置する、３００メートル四方の小さな区画に一歩足を踏み入れれば
そこは、喧噪を好み、静寂と停滞を嫌う人間達の欲望渦巻く日本最大の歓楽街
歌舞伎町
派手でいかがわしく、眠らないこの街は
法の眼をかいくぐり、私利私欲のために弱い人を食いものにする外道の巣でもある
歌舞伎町、そこは社会という共同体の裏側を象徴している街でもあり
強くなくては生きゆくことができない
欲望に虐げられ、慎ましく生きることさえままならない
そんなか弱き人々を守るため、日夜奮闘するひとりの男がいた
彼の名は
鬼神半次郎
歌舞伎町のとある雑居ビル一階に店を構える小料理屋の店主である
またの名を
夜の料理人
人呼んで
法で裁けぬ食えねぇネタでも包丁でさばく夜の料理人 半次郎
表向きは生き別れた妹を捜しながら包丁をふるう凄腕の料理人
裏の顔は、弱い人を虐げる極悪人を闇から闇へ葬り去る殺し屋なのである
夜の料理人 半次郎
その名の由来は独特の殺しのスタイルにある
これはつぼ抜きという、割り箸を魚の口から差し込んで
魚の腹に切れ目をいれず内臓だけを取り除く料理法である
夜の料理人 半次郎は
人間にも使う！
どうしてそうも回りくどい手段をとる必要があるのか
それはさておき、夜の料理人 半次郎の料理はこれだけにあらず
彼の華麗な包丁裁きをフルコースで紹介しよう
色魔の変態住職をタコ壺に誘い込み
スキャンダルを捏造した女優を、写真を撮ると誘い出し
歌舞伎町を勢力下に置くため、半次郎を利用しようとした組長を窓から突き落として
夜の料理人に容赦なし！
もはや人でなしとしか言いようがないぞ夜の料理人
そんな彼のもっとも非道な仕打ちは
同じ人類のやることか！
彼いわく、「食えねぇネタでも包丁でさばく」
しかし彼が包丁で殺したことは一切無い
組織に属さず、金で動かず、自分の正義を信じて行動し、
きれい事では片づかないトラブルを解決するために手を汚す彼に、法の手が届くことはない
彼の名は鮫島刑事。通称・鮫島のダンナ
西新宿署の刑事であり、半次郎の店の常連である
キャッツアイで言うところの内海俊夫刑事であり
ひいきにしている料理人が大量殺人犯ということにまるで気が付いていない
目の前の男をさっさと逮捕しろよ！
警察からマークされている札付きのワルを狙って頻発する奇妙な殺人について、
捜査の手がこの料理人に及ぶことはなく、歌舞伎町はつかの間の平和を取り戻す
しかし生き別れた妹を見つけるまで、そして歌舞伎町に真の平和が訪れるまで
夜の料理人に包丁を休める時はない
夜の歌舞伎町に包丁の光が煌めくとき、またひとり極悪人が闇に葬り去られる・・・・
夜の料理人・鬼神半次郎の活躍を描いたコミックス第１巻、芳文社より大絶賛発売中！！
今宵 貴殿のお命頂戴
参考文献
白泉社 コイズミ学習ブック こいずみまり著
祥伝社 魔界都市ブルース（妖花の章） 菊池秀行著
富士見ファンタジア文庫 機動警察パトレイバー④ 横手美智子著
